難民申請中→配偶者ビザについて
これまで難民申請中であれば、強制送還させられませんでしたが、2024年6月10日からは3回目以降の難民申請をする場合、強制送還の対象になる事が決まりました。
当事務所には、難民申請中の方と国際結婚をする方、した方から配偶者ビザに変更したいという相談があります。今回は、難民申請中の人が配偶者ビザを取る際のポイントなどを解説します。
難民とは?
そもそも難民とは何かと言うと…
人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者と難民認定制度に規定されています。
2024年6月10日からどうなるの?
まず、何かしらの在留資格を持っている人(短期滞在ビザ、留学ビザなど)の難民申請が受理されると難民認定申請受付票がパスポートに貼られます。
難民申請中は在留資格が特定活動という在留資格になります。在留カードはもらえずにパスポートにシールが貼られます。難民申請の結果が出るまでこの特定活動の在留資格を更新する事ができます。
申請した難民申請の結果が不認定だった場合
①審査請求(今回は説明を省略します。)
②難民申請の再申請
ができます。
2024年6月10日からは②難民申請の再申請を2回(=最初の難民申請と合わせて計3回)行うと、2回目の再申請の結果で、強制送還の対象となります。(2回目の再申請の結果以降、相当の理由がある資料を提出できれば強制送還はさせられません。)
難民申請中はお仕事をしていいの?
難民申請中は特定活動という在留資格がもらえて、申請内容によってA、B、C、D1、D2案件に振り分けらます。各案件によってお仕事をしてもいい人もいればお仕事をしてはいけない人もいます。
A案件 |
難民条約上の難民である可能性が高いと思われる案件。 または本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる案件。 |
B案件 |
難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件。 ※人道配慮の必要性を検討する必要がある場合はD案件。 |
C案件 |
再申請をして正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件。 ※人道配慮の必要性を検討する必要がある場合はD案件。 |
D1案件 |
本来の在留活動を行わなくなった後に難民申請した人。 例)失踪した技能実習生、退学した留学生など または出国準備期間中に難民申請した人。 |
D2案件 | D1以外の人 |
上記の表の内、お仕事ができる人はA案件とD2案件です。A案件の人には在留期限6か月(就労可)の特定活動が与えられます。
D2案件の人はB、C案件だけど人道配慮の必要性を検討する必要がある場合の人でかつ難民申請申請から6か月経過した人に在留期限6か月(就労可)の特定活動が与えられます。(難民申請から6か月以内の人には在留期限3か月(就労不可)」が2回与えられます。)
難民申請中の人が配偶者ビザ申請をする際のポイント
当事務所への相談者の中で一番多いのが、上記の表のD1案件の方達と結婚した場合の相談です。
D1案件 |
本来の在留活動を行わなくなった後に難民申請した人。 例)失踪した技能実習生、退学した留学生など または出国準備期間中に難民申請した人。 |
短期滞在ビザで来日してそのまま難民申請ををした方、技能実習修了後に難民申請をした方、留学生が退学して難民申請をした方など、本来の在留活動を行わなくなった後に難民申請した方と結婚して配偶者ビザを取りたいという相談が多いです。
配偶者ビザの審査の大きなポイントは
②結婚後の継続・安定性
です。
配偶者ビザの審査のポイントについてはこちらのページをご参考ください。
このうち、①のお二人の結婚が誠実な結婚であるか(結婚の正当性)については偽装結婚ではないという事を入管に説明しなくてはいけません。例えば交際期間が短かったり、メッセージのやりとりをしていないかったりする場合は偽装結婚が疑われます。
②の結婚後の継続・安定性については、たとえ正当な結婚であったとしても日本人の旦那さんや奥さんが無職やアルバイトで収入がなかったり収入が低い場合は配偶者ビザが不許可になる可能性があります。D1案件の方は在留中お仕事をしてはいけないので、配偶者ビザ取得後はどのように収入を得るのかを入管に説明する必要があります。
また、難民申請中の方が配偶者ビザ申請をする場合、なんで難民申請をしてしまったのかなどの反省文を直筆で書いて入管に提出する事をおすすめします。
まとめ
難民申請中の方が配偶者ビザ申請をする場合、配偶者ビザが欲しいから結婚したのではないか?お仕事ができないのにどうやって生活をしているのか?などと入管は疑い、審査はとても厳しくなります。また、難民申請が3回目以降になると強制送還の対象となります。難民申請中の方と交際していて配偶者ビザの取得をお考えの方は専門家に相談する事をおすすめします。